むし歯菌は、どこから来るのか
むし歯の原因となるむし歯菌(ミュータンス菌)ですが、実は生まれたばかりの赤ちゃんには1匹もいません。ではどこからやってくるのかというと、赤ちゃんを育てる大人からだという事が最近の研究でわかってきました。
近年のDNA解析技術の進歩により、むし歯菌の感染経路をたどった結果、母親由来が51.4%、父親由来が31.4%、その他祖父母や保育士由来によるものが18.6%というデータがあります。食事中のスプーン、フォーク、箸、などを共有する事によって感染してしまう訳です。
最もむし歯菌に感染しやすくなるのは、前歯が生えそろう1歳7ヶ月頃から奥歯が生えてくる2歳7ヶ月頃で、この間で一気にむし歯菌に感染することが明らかになっています。専門家はこの時期を「感染の窓」と呼んでいます。
とは言え、それを気にするがあまり赤ちゃんとのスキンシップを減らすのも、得策ではありません。実は別の研究によると、母親の口の中に大量のむし歯菌がいる場合でも、母親が歯科医院でむし歯治療や歯のクリーニングなどの適切な治療を行った場合、一緒に生活している子供のむし歯菌の感染率は治療を受けなかったケースに比べて大幅に下がり、むし歯の有病者率も大幅に下がったという結果が出ています。
赤ちゃんのお口の健康を守るのであれば、ご両親など赤ちゃんを取り巻く大人が自身のお口の健康に気を付けるのが一番効果的という訳です。