歯医者さんが歯を残すよりも「抜歯」を選ぶ理由とは?
歯医者さんが歯を残すよりも「抜歯」を選ぶ理由とは?
1、はじめに
何歳になっても、自分自身の歯で好きな食事を楽しみたいと願う人は多いはずです。
歯は私たちの大切な人体の一部であり、一生付き合っていくべき大切なものです。
私たちは虫歯や歯周病から大切な歯を守るために、毎日の歯磨きをはじめとした口腔内のケアを行い、定期的な歯科検診を受診したりしています。
その目的は端的に表すと「歯を残すこと」とも言い換えることができます。
歯科医師はどのようなときもまず「歯を残す」ことを第一に考え、最大限の努力をします。
しかしながら残念なことに、歯科医師が「抜歯をする」という判断に至るケースも存在します。
これは歯を治療するという判断よりも、取り除いた方が良いという結論に至ったわけですから、他の歯や口の中の全体を考えた時に、残すべきではないという結論に至ったということになります。
今回は、大切な歯を抜歯しなければならない理由として、どういったことが挙げられるのかについてみていきましょう。
それらとしっかり向き合うことであなた自身の歯を守るための行動や意識づけに結びついてほしいと願っています。
2、抜歯しなければならない主なケース
ここからは歯科医師が抜歯することを選択する、主なケースを具体的に見ていきましょう。
- 重度の虫歯になっている歯
むし歯が進行し歯が欠損しているような状態の歯をそのまま放置すると、細菌に感染し、歯を支えている骨が溶ける、歯ぐきが炎症するといったさまざまなトラブルの原因となります。虫歯がここまで進行するとかなり深刻な状況であり、もはや歯単体で考えるべき状況ではないとも言えます。
また、歯根部分が炎症を起こして膿がたまっている場合も、その下の骨などへの感染を防ぐために歯を抜くこともあります。
このように、重度の虫歯は周囲に深刻な悪影響をもたらしてしまうのです。
虫歯は歯を失う原因の2位で、歯を失う原因全体の3割強を占めています。
- 歯周病が進行している歯
歯周病とは、細菌感染によって歯を支える骨がだんだん溶けてしまい、支えを失った歯がグラグラと安定感を失ってしまう状態となります。
一見すると、歯そのものが悪くなるわけではないので、抜歯する必要があるのか?と思われるかもしれませんが、
歯がぐらぐらするほど歯周病が進行していることが非常に深刻で、それはすなわち細菌がたくさん生息しているということです。
この状態のまま放置すると、周辺の健康な歯までもが細菌に感染して歯周病になってしまう可能性があります。
これ以上、大切な歯を失わないためにも、歯周病でグラグラになった歯は、周囲への悪影響を防ぐためにも抜歯するという判断になるケースがあります。
歯周病は歯を失う原因の1位で、歯を失う原因全体の3割強を占めています。
このことからもわかるように、いかに歯周病予防が大切かについて理解を深めていきましょう。
- 歯根が割れてしまっている歯
様々な要因で歯の歯根部分が割れてしまうと、その間から細菌が入り込みます。
その結果、歯の神経が激しく痛んだり、歯茎に炎症が起こる、歯を支える骨が溶けるといった深刻な症状を引き起こしてしまいます。
歯科医師はまず割れている部分の修復、治療を試みます。
しかし、毎日の食事などでどうしても歯に力が加わるため、必ずしも修復がうまくいくとは限りません。
歯根の状態を見て判断し、周囲への影響を考え抜歯を選択する可能性があります。
- 存在自体に問題がある歯
その歯を残していることによるメリットがなく、同時に他の歯にデメリットを与えている場合は抜歯の対象となります。
他に歯に悪影響を与えていると言う点では、程度の差こそあれど、虫歯や歯周病と同様の理由となります。
主に下記のような歯が対象になります。
- 他の歯に悪影響を及ぼす親知らず
- 大人の歯が生えるのを邪魔している乳歯
- 大人の歯に悪影響を与える可能性のある乳歯
- 生えるべきではない位置に生えている歯
3、歯を守るために大切なこと
虫歯や歯周病は初期は症状がなく、気づかないうちに進行していくため、歯科医院に定期的に通って予防管理をすることが最も効果的です。
異変に気づいた時には症状が進行しているというケースはよくあります。早期発見できることで、大切な歯へのダメージを最小限に抑えることが可能です。
4、まとめ
誰しも最初は歯を抜くことに抵抗があります。 しかし、状態の悪い歯あるいは不要な歯を残すことで、他の歯に悪影響がある場合は、お口全体の健康を守るためにその歯を抜く、という選択を考える必要が出てきます。 歯を残すこと、抜歯すること双方にメリット・デメリットがありますので、しっかりと理解した上で意思決定をしましょう。 一生付き合っていく大切なあなたの歯ですから、しっかりと向き合っていきましょう。