かかりつけ歯科機能強化型診療所(か強診)

かかりつけ歯科機能強化型診療所(か強診) とは

当院は「かかりつけ歯科機能強化型診療所(か強診)」として厚生労働省から認定されている歯科医院です。

「かかりつけ歯科機能強化型診療所(か強診)」とは、厚生労働省が平成28年に定めた認定制度で、生涯にわたってむし歯や歯周病等の歯科疾患の重症化を予防することを目的としています。

<背景>

かかりつけ歯科医の有無と、新しいむし歯の発生や残存歯数(残っている歯の本数)には、有意に関連がある事が報告されています。また、後述のように、口腔内の健康を保つことが、全身の健康にも大きな影響を与えることが明らかになっています。
国もその重要性を認識し、厚生労働省は、従来の「削って詰める治療」中心のこれまでの歯科医療を改めて、「むし歯を防ぐ・歯周病を進行させないための継続的な検査やメンテナンス」が行える歯科診療所を、かかりつけ歯科機能強化型診療所として認可し、保険制度に反映しました。

将来、歯を失わないためには 〜予防先進国スウェーデンの例~

スウェーデンは、世界で最も予防が進んでいる国の1つですが、1960年代には、多くの国民がむし歯や歯周病にかかっていました。そのため、1970年代より国家戦略として、定期的なメンテナンスとホームケアの指導をした結果、小児のむし歯、及び大人のむし歯や歯周病の罹患率が減りました。厚生労働省による平成29年度歯科疾患実態調査によると、80歳時点での残存歯数は、スウェーデンでは21.1本に対し、日本は13.0本と約8本も差がありました。スウェーデンでは、小児期から継続して定期的に歯科を受診して予防を行っており、その結果、高齢になっても多くの国民が80歳で20本以上の歯を残すことができています。一方、日本では、「歯医者は痛くなってから行くところ」と考える方がいまだに多く、その結果、むし歯や歯周病になり、多くの歯を失っていると考えられます。
生涯にわたりご自身の歯でおいしく食べ、健康寿命を少しでも延伸するためには、メインテナンスがとても大切となります。

厚生労働省「平成29年度歯科医疾患実態調査」より

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かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)認定医院のメリット  ~健康保険の適用範囲が拡大 ~

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)では、か強診でない一般の歯科医院と比べて、健康保険の適用範囲が拡大されています。かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)でない歯科医院の場合、むし歯の重症化予防のためのフッ素塗布は3ヶ月に1度、歯周病重症化予防のためのメンテナンス(歯周病安定期治療)は3ヶ月に1度しか保険で認められていません。一方、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)では、フッ素塗布、歯周病のメンテナンス(歯周病安定期治療)ともに、毎月保険が適用されます。

かりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)では、患者さまのかかりつけの歯科医院として、乳幼児期から高齢期まで生涯にわたって、むし歯や歯周病の重症化予防のための医療を提供し、保健指導を行うことで、歯の喪失リスクの低減をはかり、お口の中だけでなく、全身の健康の増進維持に寄与する事を目的としています。
健康寿命を延ばし、生涯にわたって心身ともに生き生きと過ごしていただくためには、病気になってからの治療ではなく、予防のための歯科医療を受けていただくことを推奨します。

むし歯の予防に

歯周病の予防に

「か強診」に認定されていない医院では

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所ではない歯科医院では、むし歯の重症化予防のためのフッ素を塗布は、3か月に一度しか保険の適用が認められていません。

「か強診」に認定されていない医院では

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所ではない歯科医院では、歯周病検査や歯石の除去・クリーニングは、3か月に一度しか保険の適用が認められていません。

「か強診」認定医院では

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所では、むし歯の重症化予防のためのフッ素を塗布を、毎月保険適用で受けていただけます。

「か強診」認定医院では

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所では、歯周病検査や歯石の除去・クリーニングを、毎月保険適用で受けていただけます。

全国の歯科医院の中で約10%程度 

かりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)は認可要件が厳しく、後述の施設基準を満たし認可を受けているのは全国の歯科医院のうち約10%です(平成29年4月時点)。

参考

歯の本数と医科の医療費について

50歳代、60歳代、70歳代において、残存歯数(残っている歯の本数)が多いほど、医科の医療費が低い事が報告されております。反対に、口腔環境が悪化し、残存歯数が少なくなるほど医科の医療費が高くなるという事が報告されております。

歯の本数と誤嚥性肺炎、アルツハイマー型認知症について

残存歯数が少なくなるほど、誤嚥性肺炎、アルツハイマー型認知症を発症するリスクが高い事が報告されております(誤嚥性肺炎は死因の第7位、認知症は要介護になる原因第1位です)。

歯の本数と脳卒中について

脳卒中患者の口腔内について調査した研究では、50歳代の脳卒中患者の残存歯数は、日本人の平均残存歯数に比べ、有意に少なかった事が報告されております(脳卒中などの脳血管疾患は要介護になる原因第2位です)。

歯の本数と要介護について

65歳以上の高齢者では、残存歯数が19本以下の人は、20本以上の人に比べ要介護になりやすいという事も報告されております。

抜歯の原因

2018年の公益財団法人8020財団の調査では、抜歯になる原因で最も多かったのは歯周病(37%)、次いでむし歯(29%)、破折(18%)でした。破折(歯の根っこにひびが入る事)した歯の多くは、神経を取った歯であるため、破折の原因はむし歯由来と考えられます。すなわち、残存歯数が少ないという事は、むし歯や歯周病のために抜歯をした本数が多いという事になります。

かかりつけ歯科機能強化型診療所の認定基準

人員、診療体制、実績、医療設備などにおいて、それぞれの基準を満たした歯科医院のみが厚生労働省から認定されて「かかりつけ歯科機能強化型診療所(か強診) 」を掲げることができるようになります。
緊急時に対応できる「人員・設備・連絡手段」などの有無、将来的に在宅での歯科治療に移行する可能性も含めた「訪問診療」の体制の有無、滅菌処理やディスポーザブルなど、「感染対策の実施」などが審査されます。

「かかりつけ歯科機能強化型診療所(か強診) 」に認定されるには、以下の条件などが必要となります。

歯科医師が複数名配置されていること、または歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること。
当該医療機関に、歯科疾患の重症化予防に資する継続管理に関する研修(口腔機能の管理を含むものであること)、高齢者の心身の特性及び緊急時対応等の適切な研修を修了した歯科医師が1名以上在籍していること。なお、既に受講した研修が要件の一部を満たしている場合には、不足する要件を補足する研修を受講することでも差し支えない。
診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること。ただし、医科歯科併設の診療所にあっては、当該保険医療機関の医科診療科との連携体制が確保されている場合は、この限りではない。
歯科用吸引装置等により、歯科ユニット毎に歯の切削や義歯の調整、歯冠補綴物の調整時等に飛散する細かな物質を吸引できる環境を確保していること。
患者にとって安心で安全な歯科医療環境の提供を行うにつき次の十分な装置・器具等を有していること。 

 AED

 パルスオキシメーター

 酸素

 血圧計

 救急蘇生セット

 歯科用吸引装置