根管治療(根の治療)

虫歯が悪化し、感染が歯髄(歯の中の神経や血管などがある部分)まで達し、炎症を起こしている場合、神経を取る治療(抜髄)を行う必要があります。その後はしっかり消毒して神経などが通っていた通り道を密封する必要があります。

当院ではラバーダムと呼ばれるゴムのシートを使用し、唾液や細菌の侵入を排除して根管治療を行なっております。

根管治療とは

根管治療とは、虫歯が悪化し、歯の神経が入っている管に細菌感染が起こった際、この感染組織を除去するために神経を取り除く処置のことです。

根管の先端に膿が溜まっている場合は、根管内を無菌化する治療が必要となります。これらの処置後、根管を薬剤で封鎖する根管充填と呼ばれる処置を行います。これら根管内の治療を根管治療といいます。

注意事項

神経を除去した場合、2割の方に治療後も違和感が残ることがあります。
根尖に嚢胞などが確認できない場合は経過観察となります。
治療後、再発し、当院での治療が困難な場合は根管治療の専門医にご紹介致します。

歯を残すために

歯を残すには、精密な「保存治療」を行う必要があります。保存治療とは、歯を失わないで済むようにしっかり治療を行い、大切な歯を保存し機能させていく治療です。

歯科保存治療には、以下のような種類のものがあります。

  • 歯の削った部分などを補うなどの治療「保存修復治療」・・・詰めたり被せたりして歯を元通りに機能させる
  • 歯の神経を取るなどの治療「根管治療」・・・神経まで虫歯に侵された歯を抜歯から救う
  • 歯を支えている組織の病気である歯周病の治療「歯周治療」・・・歯周病で歯が抜け落ちることから救う

根管治療の必要なケース

歯髄炎により抜髄が必要な場合

虫歯を放置すると、やがてむし歯は神経(歯髄)まで達し、炎症(歯髄炎)を引き起こします。夜も眠れないほどの痛みになることもあり、こうなると「神経を取る治療」=「歯髄の除去」=「抜髄」する必要があります。

さらに我慢して放置すると、歯の神経が完全に死んで痛みが無くなります。しかし、歯の内部の細菌は、やがて歯の根にある小さな孔から、歯の根の周囲の組織である「根尖歯周組織」に広がり、「根尖性歯周炎」を引き起こします。

根尖性歯周炎になってしまうと、激しい痛みが起きて顎の周りが腫れてきたりするため、徹底した治療が必要になります(感染根管治療)。

根尖性歯周炎による再根管治療

一度根管治療を行っても、微細な歯の根の通り道に菌が残ってしまい、そこで菌が繁殖し、「根尖性歯周炎」を引き起こすことがあります。

このような場合には「再根管治療」が必要となります。
再根管治療は抜歯を回避するための重要な治療ですが、日本では一般歯科医による再根管治療の成功率は低く、海外(歯科の先進国)では再根管治療は専門医が行うのが一般的です。当院での治療が困難な場合は、根管治療の専門医にご紹介致します。

根管治療のメリット

根管治療のメリットは、虫歯が歯髄まで進行してしまい、昔であれば抜歯となっていたような歯の状態でも、根管治療によって歯を残すことができる可能性があるということが最大のメリットです。

根管治療成功のために

マイクロスコープ

根管治療をする際、歯の神経や血管などのある歯髄が通っている根管は歯の中を非常に細かく枝分かれしたり、曲がりくねったり、複雑な形状をしているため、これまでは「経験」や「勘」にたよった治療が行われてきました。しかし当院では、根管治療の成功率を高めるため、「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」を使用し、経験や勘ではなく、「拡大視野下」で「しっかり見ながら」根管治療を行っています。日本でのマイクロスコープの普及はまだまだといえますが、欧米では、根管治療ではマイクロスコープを用いた治療はスタンダードです。

ラバーダム

ラバーダムとは、根管治療の際に治療する歯だけを出して、口全体にラバーの膜で養生する処置のことです。根管治療では特に、治療中に唾液が入ってしまうと、口の中の細菌も入り、根の内部が治療のそばから感染していくことになるので、治療しても再発しやすくなります。

ラバーダムを使用することで、唾液、細菌の侵入を防ぎ、治療成績が上がるメリットがあります。

根管治療の流れ

STEP-1

歯や破折によって歯髄に細菌が侵入し、歯髄腔全体に感染が広がって、根の先に膿が溜まっている状態です。

STEP-2

治療の為に咬合面や補綴物を削ります。

STEP-3

リーマーで細菌に感染した骨髄(神経や血管)を除去します。

STEP-4

根管内を何度か洗浄・調薬し、最後に根充剤を詰めます。

STEP-5

根管に土台を入れ、人工の歯冠(クラウン)を被せます。

説明用動画